釣りが上手い人

  バス釣り的に「釣りが上手い人」とはどういう人の事を言うのだろうか。

  世の中には年間2千も3千もバスを釣り上げる人がいる。一日に三桁釣った人も知っている。こういう人はバス釣りが上手いと言えるだろうか?

  これは言うまでもなく、言えない。子バッチは日が良ければそれくらい平然と釣れる。釣行回数が多ければやはり数は釣れる。極論を言えば、数を釣りたいなら餌を使えばいいし、もっと獲りたければ投網を使えば良い。

  では、でかいバスを釣れば上手いのか?僕などは05年に50UPを5本も釣っている。40UPは三桁だ。

  これも駄目だろう。例えば、琵琶湖をホームにしている人の中には、この程度の記録を持つアングラーはざらにいる。大体、でかいバスが釣れる場所ででかいバスを釣っても自慢にはならんのである(もちろん、琵琶湖に行けば誰でもでかいのが釣れると言う意味ではない)。

  では、自己記録のバスが大きければどうか?これも怪しい。世の中にはまぐれや奇跡というものがある。

  バスプロと呼ばれる人たちがいる。この人たちが「釣りうま」であることに異論を差し挟む余地は無いと思う。彼らは年間何千本もバスを釣っている訳でもなければ、デカバスを山ほど釣る訳でも、自己記録が70UPである訳でもない。彼らはそれなのに誰からも上手いと認められる。なぜか?

  それは偏に、トーナメントという過酷な舞台で実績を残しているからである。指定された水域で、限られた時間でバスを釣る。これはやはり釣りが上手くなければ釣れない。バスプロの中でもトップ選手達は、年間を通して安定した成績を残してくる。これは、いつ如何なるフィールドでも確実にバスを釣る能力があることの証明であると言えよう。そういったアングラーにこそ「釣りうま」の称号は輝くのである。

  さて、トーナメントなどに縁が無い草アングラーの中にも「奴は上手い」と衆目の一致するアングラーがいる。

  みんなが子バッチしか釣れないと嘆く中、一人ででかい奴だけをぼこぼこ釣る。釣れない状況下、隣りでなぜか爆釣している。みんなが当たり前にボウズなのに、いきなりデカバスを釣る。そういう事が度重なると、そいつは上手いのだと認定しない訳にはいかなくなる。

  そういうアングラーは何人か知っているが、不思議と幾つか共通する釣りの特徴を持っているものである。

1、考え方が非常に柔軟である。

  釣り方に拘りが無く、一つの釣り方に固執しない。他人が釣れているとなれば、そのルアーを借りてでも魚をキャッチしようとする。

2、釣りの引出しが多い

  知識、技術に対して貪欲で、いつも何かを試している。

3、諦めが悪い

  一緒に行った仲間がへたれても粘りに粘る。

4、集中力がある

  釣りを始めると周りは見えなくなるし、声は聞こえなくなる。そもそもちょっと声も掛け辛いほど集中して釣りをする。

5、根拠の無い自信がある

  「みんなが釣れなくても俺は釣る」と、まったく根拠無い自信を、しかも絶大な自信を持っている。

6、釣りに命を賭けている

  1月も釣りが出来ないと死んでしまうほど、釣りを愛している。

  と、まぁ、こんな感じである。自分が幾つか当てはまると思ったあなた。素質ありですぞ。

  もっとも、アングラーは誰しも内心「俺が一番うめぇんだ」と思っているものである。謙遜して「いや、俺は下手だから」という台詞ほど信用出来ないものは無い。その証拠に、何人かで釣りに行けば誰しもその日の竿頭を目指して必死で釣りをするではないか。

  バス釣りはそもそもスポーツフィッシングであるからそれで良いのである。工夫と努力をし、競い合ってこそのバス釣りであろう。上手い人だって初めから上手かった訳では断じてなく、精進を重ねて次第に上手くなったのである。釣りはセンスだなどと言う言葉に騙されてはいけない。

  もっとも、バスは気まぐれなお魚であるから、上手い人が釣れない時にビギナーが投げたルアーに食いついてくれたりする。嫁や彼女にバス釣りを教えようと思って連れて行ったら、逆にでかいのを釣られて自信を無くしたという様な事は、よくある話である。だからバス釣りは面白い。

  結局、その人が上手いか下手かなど、釣られてしまったバスにしか判定出来まい。

 

 

 




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