トップウォーターの恍惚

 トップウォーターの楽しさは、バスのバイトシーンが見える事に尽きる。静かな水面に浮かぶプラグ。突然水面が揺らぎ、プラグが消し込む!驚きと興奮の中、一拍待ってフッキング!うーん、エキサイティング・バスフィッシングちゅー感じ(笑)。しかも、ほとんどのトップはアクションを自在につけられるため、バスを誘って「釣った」という感じが強い。
 しばしば誤解される事だが、トップは良く釣れる釣りである。
バスは基本的に、水面を強く意識している魚である。なぜかというと水面には「捕食し易い」生物が浮いている事が多いからである。
 野池のバスのメインベイトとも言える昆虫は、水棲昆虫という例外を除いて泳げない。そのため水に落ちてしまうと、バスの捕食から逃れる事は出来ない。つまり、バスにとって最も捕食し易い餌という事になる。
 日本の水辺にいる代表的生物はカエルである。彼らは基本的には水面近くを泳ぐ。その泳ぎはバスのレベルからすれば問題外に遅い。彼らもバスにとって捕食し易いベイトであるという事が出来る。
 弱った魚を見た事が有るだろうか?トラウトの管理釣り場に行けば容易に見る事が出来るが、怪我などで弱った魚は水面近くでのたくっている事が多い。彼らも、バスにとっては格好の御馳走であると言えるだろう。
 この様に水面に食い易いベイトが浮いている事が多い以上、バスが水面を強く意識するのは当然の事である。その意味で、トップウォータープラグが良く釣れるのは当り前の事であると言えるのである。
 トップウォータープラグはどちらかと言えば、食わせのルアーである。ハードルアーのほとんどがバスを脅かしたり好奇心を刺激したりしてバイトを引き出すルアーであるのに対して、トップウォーターは一部(バズとか)を除いて餌をイミテートしてバスの食欲を刺激するルアーだと言う事が出来る。このため、トップウォーターが有効な場面というのはバスの活性が比較的高く、食気がある時であるということが言える。
 しかし、前述したように、トップがイミテートするベイトというのは概ねバスにとっては容易に捕食できる餌である事が多い。このため冬の暖かい1日や春先など、バスが未だ良く動けず、食い易い餌を食いたがる時期に偏向的な威力を発揮する事があるのである。また、夏場のオーバーハング下など、バスのやる気があまり無い時にはトップにしか反応しないなどという場面も出てくる。
 ここで重要になるのはそれぞれの場面でのルアー選択である。バスの活性が高い時というのは、バスはなにしろ目立つ餌を求めている。このため、大き目のペンシルベイトやノイジーなどとにかく目立つルアーを投げてやる必要が有る。こんな時は巨大な着水音がバスに対する有効なアピールになったりする。
 逆に春先など活性が未だ低く、食い易い餌を求めている場合には小さなトップが無茶苦茶に効く。イメージは羽虫の着水である。この時期のドライフライの威力たるや恐ろしいものがある。
 トップウォータープラグを使い分ける上で頭に残しておきたいのは「トップウォータープラグはバスから見え難い」という事である。プールに潜って水面方向を見れば分かるが、浮いている物体というのは水面の反射で良く見えないのである。風でも吹こうものなら小さなものはまったく判別できなくなる。もちろん、バスの目は人間より遥かにいいだろうが、小さなトップがいかなる場面でも有効かといえばそうでもないのは本当の事である。風、雨、強い流れなどがある時はルアーのサイズをアップするといい。こんな時は笑っちゃうような巨大なペンシルにバスが出たりする。
 トップウォータープラグは特にクリアウォーターで有効なルアーである。クリアウォーターに住むバスは警戒心が強い。じっくり餌を観察してから食う傾向があるため、水中系ルアーを見切り易い。しかし、トップは見え難いの見切られ難いのである。クリアウォーターでトップをやる時のコツは、ポーズの時間を長く取ることである。クリアウォーターのバスは不自然な動きにはかえってスプークし易い。下手にアクションするくらいなら動かさない方が良いのである。
 最後に、トップが苦手だという人に向けて、トップで釣るコツをちょっと書いてみよう(そんな大層なものでもないけどね)。
 それは「水面下の様子をかってに想像する」ことである。プラグの下でバスがどのようにしているか、例えば、プラグが着水してバスがプラグに気付く。ちょこんと首を振らせるとバスが興味を示し寄ってくる。そこですかさず逃げるようなアクションをさせると、たまらずバスがバイト!…みたいにかってにバスの行動にシナリオを付けるのである。このシナリオがあるのと無いのとではトップの釣果は全然違う(他の釣りでもそうだが、トップの釣りはより顕著なのである)。
 この思い込みと妄想の完成度を高めるにはバスの習性や癖を知っている必要が有る。バスがいる場所だけではなく、その状態まで見極めなければ釣れないのである。つまり、バスのことを理解すればするほどどんどん良く釣れるようになるのがトップウォーターゲームなのである。バス歴が長い人にトッパーが多いのはこのためであろう。
 僕は、トップは大好きな釣りの一つである。初めての40UPを釣ったのもトップであった。トップでの最大記録は48cm。05年は是非ともトップで50UPを出したい。



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