竿が折れちゃった

 皆さんは竿を折った事がおありでしょうか?

 あれはへこみますよね。僕は2本折った事があるのですが、そのうち一本は家の中で曲がり方をチェックしていたら折れちゃったものでした。呆然としますよ、あれは。

 しかし一番凹んだのはもう一本の方ですね。

 あれはバス釣りを再開してすぐのこと。僕はその当時通っていた野池の薮を漕いで、まぁ、およそ僕以外の人はあまりこないようなエリアに侵入しました。そしてまず買ったばかりのラバージグを投げ始めました。竿はむかーし買ったいんちきなテレスコピックのロッドで、昔鯉釣りに使っていたルアーロッド。長さは6フィートちょい。ほとんどの部分はカーボンでティップだけグラス。テーパーはスローで、はっきり言えばべなべななロッドでした。しかしながらこのべなべなさが幸いして、フッキング力は良く、ばらし難かったのです。まぁ、パワーはなかったので35cmくらいの奴が掛かるとおお焦りでしたけど。

 さて、ラバージグを投げてずる引きしていると(その日は水がクリアで良く見えた)、倒木(というより捨て枝)に差し掛かりました。するとそこに一匹のデカバスがいるのが見えたのです!そして、ラバジの匂いを嗅いでいます。「こんなん投げてる場合じゃない!」(笑)僕はラバジを慌てて回収し、速攻で必殺のカットテール4インチワッキーをセット。そして、バスの目の前にキャストしたのです。

 すると、バスが確かに食いつくのが目視できました。「もらったっ!」激合わせするとしっかりフッキング。おお、これはすごい引き!僕は懸命にバスをいなしながらふと、ある事に気がつきました。

 僕はその時、水中に張り出した木に片足を掛け、ブッシュの向こうにキャストしていたのでした。つまり、ハンドランディングもスムーズな抜き上げも不可能だったのです。そこで僕はバスを限界まで弱らせ、そーっと抜き上げる事にしました。さしものデカバスも(40cmは確実にあった)暴れまくった末にくたびれはて、横になって浮いています。僕は竿を立て、そーっとバスを引き上げて見ました。ロッドは大きく撓ったものの、バスはゆっくり空中に上がりました。「大人しくしろよ」僕は掛けていた枝から足を外し、後ろにそっと下がろうとしました。その刹那!

 何の前触れも無くロッドがへし折れたのです。当然バスは落水!

 僕はその時まず「やばい!バスが逃げる!」と考え、ラインを掴みました。しかし、その時には既に遅し。バスはラインをぶち切って、まんまと逃げ去ってしまいました。その時のくやしさは計り知れません。当時の僕の、正にレコードサイズのバスだったからです。しかもほとんど掌中に収めていたのです。僕はロッドの根性の無さを言語能力の有らん限りを尽くして罵りました。

 そして興奮がさめると、帰るのも大変な場所にいて、ロッドが折れているために帰るしかない僕がいる訳です(笑)。あれほど寂しい事はそうはないですね。しかも事件の時に片足は落水しているし。仕方ないのでとぼとぼ帰りましたよ。

 その後、仕方ないのでロッドを買いましたが、あのいんちきなロッドが意外に使い易かったのだという事に気がつくと、ロッドを折ってしまった事に後悔の念が絶えませんでした。まったく忘れ得ぬほどひどい出来事でした。ロッドは大事に使おうとその時心に誓いました。

 まぁ、未だに気がつくと乱暴に扱っていたためにガイドが曲がったり、欠けたりしているんですが(笑)。


TOP