ロッド物語

 僕が最初に自分のお金で買った竿はルアーロッドでした。
 今や名前も定かではない竿(メーカーも何だか分からんメーカー)。確か価格は5千円くらい。購入した場所は宇都宮の、今は亡き小さな釣り具屋さん。当時の僕にはかなり思い切った買い物で、かなり迷って購入したのを覚えています。
 ブルーのグリップとグレーのブランクがなかなかオシャレなテレスコピック式ロッド。今良く見ると、穂先だけがグラスのソリッドで、後はカーボンのようです。総グラス素材製より圧倒的に軽く、見た目にも高級感がありました(今見ればそれなりなんですが)。
 僕はそのロッドを…。鯉釣りに使っていました(笑)。
 なぜに鯉釣りにルアーロッドを?当時の僕(高校生)は原チャリしか持っておらず、いわゆる鯉釣り用に使う投げ竿は持ち運びに不便だったからです。テレスコピックで仕舞い寸法30cmくらいのこの竿ならバックに入ったのです。当時の僕の頭にはルアー釣りなんていう選択肢はまったく無く、そもそも魚種によってロッドを使い分けるなどという発想が無かったのも理由です。
 このロッドにカーボストライカーST-10(これもそもそもルアー用ですね)のセットで鯉の吸い込み釣りをして、60cmくらいの鯉は何匹か釣りました。防波堤で黒鯛(カイズですが)も釣りました。今考えても今までで一番長い間愛用したロッドがこいつでした。
 初バスももちろんこのロッドで釣りました(「初めて釣ったバス」参照のこと)。一時期釣りから離れ、またバス釣りを再開してからも、ずっとこのロッド一本を愛用していました。なにしろ真の意味での愛竿でしたから、このロッドにまったく不満は感じていませんでした。というか、当時の僕には竿に善し悪しがあるなどと言う事は分かりませんでした。だって、この竿しか使っていないのですから。
 ところが、こいつが折れちゃったのです(「竿が折れちゃった参照」)。しかたなしに、僕はロッドを買う事にしました。
 当時の僕は、薮こぎアングラーでした。薮こぎにはテレスコピック式の竿が最高だと信じていた僕は、またテレスコピックのロッドを買ったのでした。リョービの5000円くらいのロッド。大手釣り具店Jで、店員に「これバス用ですよね」と確認した訳だのに、実はこのロッド、トラウト用でした(Jの店員の言う事を信じた僕が馬鹿でした)。
 トラウト用ロッドをバス釣りに使うと何が起きるか。何と言ってもフッキングパワー不足が起こる訳です。トラウト用ロッドはバットが弱いですからね。実際ばらしは頻発し、はっきり言ってこりゃー使い物にならんわ!と考えた僕は僅か1週間でこのロッドをお蔵入りにしました。
 やはり、いいバスロッドを買うにはワンピースロッドを買うしかない。僕は中古屋に出向き、予算と相談の末(笑)、ダイワのトルネード571MLFSというロッドを買ったのでした。初めての本格バスロッドです。ポイントは僕の車(クーペ)に載せ易い様に短い竿である事でした。
 これはなかなかにいい竿でしたが、やはりバラシが多かったのです。やはり、フッキングパワーが不足しているのではないか?と考えた僕は、このロッドを2ヶ月使用した後、このロッドを売り払い、ハートランドX601MFS-Sというロッドを購入したのです。このロッドはスピニングにしては珍しくMフレックスで、固い竿ならフッキングパワーがあってばらし難いだろうと考えた僕の望みにあっていたのです(でも、これは間違い。フッキング率はむしろ柔らか目で長い竿の方が良い)。これは現在でも所有(最近キャナピーに永久貸し出しにした)している事からも分かるようにほぼ満足の行く竿でした。
 しかし、この頃から僕はベイトリールを使い出していました。ベイトリールを手に入れ、予算の都合で最初に選んだ竿はやはりダイワのトルネード571MLRBという竿でした。
 こいつはいい竿でした。短いために片手で扱えるため、ベイト初心者の僕にも扱い易く、適当にだるいので(笑)なんでも出来ました。しかも丈夫。デザインがシンプルでかっこいい。ということでかなりお気に入りでした。そのためまったく不満無く1年くらい使いました。
 唯一の不満は飛距離でした。やはり短い竿は飛距離に問題があると考えた僕は、ある時中古ショップでラグゼカマー588を購入したのです。7フィート8インチ、Hフレックスのこの竿なら、きっとド遠投出来るぞ!
 …そんなわきゃーないのです(笑)。重くて長くて固すぎるこのロッドの出番は結局無く、04年にブロディ7インチを購入するまでお蔵入りになる事になりました。ビッグベイト用として使うのなら大変いいロッドでございます。
 さて、トルネードにほとんど不満が無かった僕ですが、やはり発病しました「高いもの欲しいよ病」(笑)。とにかくなんかロッドが欲しくなった僕はショップへ向かいました。そこで、がまかつロッド半額セールにぶち当たったのです。
 がまかつ!幼少時から釣りに親しんできた僕にとってその名前は特別な意味を持っていました。ダイワ、シマノといったなんとなく軟派な(笑)メーカーと違って、質実剛健、硬派な釣り師のロッドを作るというイメージはテレビ番組で頭の中に刷り込まれてしまっていました(笑)。この当時、僕はメガバスやエバーグリーンといったバスロッド専門メーカーには偏見があり(笑)、しかも高すぎるので全然買う気はありませんでした。
 何種類か有った中で選んだのはラグゼカマー574。短い竿が好きで、トルネードに比べてやや固めのロッドを求めていた僕にはぴったりのロッドでした。
 使ってみるとこれが非常に良い品で、トップからクランクまで幅広く使えるなんでもロッドとして半年くらい使いました。これを使っている時には全然不満は感じませんでした。
 さて、僕が初めて買ったメガバス社のロッドはデストロイヤートマホークF4-59TXでした。ある時中古屋を冷やかしに行って、おっちゃんと話していた時の事。値札29800円が付いていたこのロッド(結構美品だった)を指差し、「このロッド良さそうだよね、25000円くらいなら買うんだけどなぁ」などと言ってしまったのです。
 すると、おっちゃんあっさりまけやがったのです(笑)。引くに引けず、まぁ、グラスロッドも使ってみたかったし、いいか、と無理して購入したのでした。
 しかしこのロッド、グラスにしては張りが強すぎる事、やはりグラスなのでバットパワーが無い事。短いためストローク不足のためフッキングパワーが無い事から、ばらし易さはカマー574と変りませんでした。これでは使う意味はあんまりないな、ということで結局お蔵入りになったのでした(先日I氏の元にお嫁に行きました)。
 そんなある日の事。仕事で外に行き、昼休みに中古釣り具屋に寄った時の事です。
 ロッドの棚を何とはなしに見ていた僕の目に一際上品なロッドが映りました。漆黒のブランク、金色のガイド、スレッドの赤い飾り巻き…。隣りにあったデストロイヤーより一際輝いて見えました。
 それがラグゼノーム666だったのです。
 それはもう、一目ぼれでした(笑)。あまりにかっこいいし、何より「がまかつ最高級ロッド」の超美品がなんと25000円!これはもう買うしかない!
 流石に仕事中にワンピースロッドは買って帰れなかったので(笑)、会社が終わってから僕は一目散に宇都宮に向かいました。その日は大雨で、雷まで鳴っていました。道が渋滞し、なかなか店まで辿り着きません。本気で「売れないでくれー!」と心配しましたよ(まぁ、がまかつのロッドは人気が無いからそうそうは売れないですが(笑))。
 使ってみれば、その独特なフィーリングと美しいデザインに超満足(笑)。今でも僕のエースロッドです。

 他のロッドの話はネタが溜まったら(笑)書く事にします。「2」をお楽しみに(笑)。



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