リール物語

 今でこそ圧倒的なベイト派(というよりスピニングリールを持っていない(笑))の僕ですが、釣りを始めた当初はやはりスピニングリールを使いました。
 しかし、リールにはあまりいい想い出がありませんでした。
小学3年生くらいの時の事。それまでずっとおやじに投げてもらっていた海の投げ釣り(防波堤からなにか釣っていた)で初めて自分で投げて良いとの許可が出、勇躍竿を持ち「どりゃぁ!」とキャスト。
 しかけはなぜか不思議な事に真横へすっ飛び…。並んで釣りをしていた人々(赤の他人)の方へ…(危ない!)。頭を下げ下げ仕掛けを回収して、もう一度キャストすると、今度は真上に飛んで、電線にぐるぐるぐる…。
 これがトラウマになって中学3年になり栃木に引っ越してくるまで僕はリールを使いませんでした(笑)。
 中学生にもなれば、とりあえず普通に投げられるようにはなっていました。しかし、僕はどうもあの「ラインに指を掛けてベイルを返す」という動作に馴染めませんでした。「面倒くさい…」なにかいい方法はないものか…。
 この時に出会ったのが、ダイワST-10というスピンキャストリールでした(ST-20のインプレッション参照)。これは素晴らしかった。なにしろレバーを引いて投げ、そのまま巻けばいいのです(もっともこの当時は鯉の投げ釣りだったので、巻くのはあまり関係が無かった)。指をラインに掛けないので垂らしの長さを気にする必要も有りません。
 その革命的な使い易さに思わず2つ買い求めたほどです(一個3千円くらい(笑))。その後、バス釣りを始めて、一度止め、再開しても僕はこのリールを愛用していました。
 しかし、このリールはそもそもルアー用のくせに、ルアー釣りに使うには致命的な欠点がありました。耐久性が全然無かったのです。鯉釣りのように1時間に2〜3回しか投げないような釣りならばともかく、投げては巻き、巻いては投げする釣りにはどうしようもないくらい剛性が足りませんでした。あっという間にガタが出、唯でさえ良くはなかった巻き心地は更に悪化。更に、構造上糸が詰まるという独特なトラブルが起きる上、そもそもスピニングリールの8割くらいしか飛距離が出なかったのです。
 バス釣りをやり込んで行くと、このリールの欠点にほとほと愛想が尽きてきました。おりしも、本を見ると世の中にはベイトリールという「ベイルがそもそもない」リールがあるらしいのです。
 ベイトリールが欲しいなぁ。しかし、3万円もするリールは当時の僕(その頃は出来るだけ釣り具には金を掛けない様にしていた)には高すぎました。どっかで「ど」安く手に入らないものか…。などと、なめた事を考えていたある日の事。
 僕らは霞ケ浦で行なわれた釣り大会に出場しました。まぁ、僕は全然釣れなかったので(笑)論外だったのですが、キャナピーは小魚(笑)を釣っていました。それがなんだか「ぴったり賞」とかいう訳の分からん賞に絡み、賞品をもらったのです。
 それがなんとベイトリール。クァンタムのKV600CXというモデルでした。
 中古屋に高値で売り飛ばそうというキャナピーの目論見は「3000円だね」という中古屋のおっちゃんの冷たいお言葉に脆くも崩れ(笑)、それを僕が4000円で買い取ったのでした。
 僕は喜びました。そして早速ラインを巻き、近くの野池へ。
 投げるのは自作の小さなトップ。期待に胸膨らませてキャストー!
 …バックラッシュ初体験。ど、ど、ど、どうやって使うんだ?こんなリール?投げれば投げるたびバックラッシュ。僕は困り果てました。そして、試しにルアーをペンシルに代えてみたのです。
 すると、段々投げられる様になってきたではありませんか。そう、自作ルアーはベイトで投げるには軽すぎたのでした。次第に慣れ、ブレーキを弱めると更に飛ぶようになりました。
 結局、このリールは半年ほど使いました。
 慣れると欲が出るのは人の常でございます。使い込んで行くとこのリールの欠点が色々見えてきました。まず、カッコ悪い。色はグリーン、変なシール。しかも傷が付くと安っぽく見える。更に飛距離はあまり出ず、巻き心地はカタカタ。
 特に見た目(円型が欲しかった)が我慢できなかった僕は大手釣り具屋に向かいました。そこでとあるリールに目を留めました。
 それがアクシス100ver.2でした。円型で、色はきれいなシルバー。そして価格はセールで1万円弱。おお、こいつしかない!
 その場でラインを巻いてもらい、僕は喜び勇んで野池に向かいました。ロッドにセットし、ペンシルをセット。そこで僕は気が付きました。うん?このリール、ブレーキ調節つまみが無いぞ?
 まぁ、いいか、というアバウトな考えで、池に向かいフルキャストー!
 大バックラッシュ!そんな馬鹿な!もうベイトリールは完全に使いこなしていると自負していた僕は衝撃を受けました。ところが、何遍投げてもバックラッシュするのです。あ、ありえん。多分これはブレーキが掛かっていないのだ。僕は必死にメカニカルブレーキを閉め込みましたが、駄目でした。こ、これはきっとどこかにブレーキが隠されているのに違いない。分解し、説明書(これにはブレーキの事が一言も書いていなかった!) を穴が空くほど読んだのですが、分かりません…。
 結局、恥を忍んでネットの掲示板でSVSの調節法を教えてもらうまで悪夢のようなバックラッシュに悩まされたのでした。何度本気で池の中にリールを叩き込もうと思った事か…。不親切すぎるぞ!シマノ!!
 SVSを調節出来るようになってからは非常に快適で、満足しました。半年間はこれでまったく不満は感じずに過ごしました。しかし、このころから僕の悪い病気、そう「物欲病」が発生し始めたのです(笑)。アクシスに不満が無いのに、僕は「高いリール」を探し始めました。そして、目に留まったのが、当時発売されてから間も無かったコンクエスト200DCでした。
 迷いました。実売48000円はあまりにも高い…。候補としてはコンクエスト100、アンタレスAR、TD-Zなども考えました。しかしここで、僕の更に悪い癖が出ました。
 「迷った時は一番高い奴を買っとけば後で後悔しない」という恐るべき理屈で物欲が理性をねじ伏せたのです(笑)。ボーナスが出た事もあり、僕は行き付けの釣り具屋さんにリールを注文しました。
 ところが、これが待てど暮らせど届かないのです(笑)。12月に注文したのに届いたのは2月…。ボーナスなんてとっくに使い切ってしまって残っていません(おいおい)。購入費の捻出には恐ろしく無理をしました。やれやれ。
 しかし、使ってみればこれがアクシスとは別物。いや、それ以上。この上なく美しい外観。そして、かっちょいい音をたてて異次元の飛距離(比較アクシス)にルアーが着水するのを見ると、購入した事には後悔はありませんでした。
 200DCを購入してからなんだか釣果が延びました。ロングキャストが出来るようになった事によって、油断しているバスが釣れるようになったからでしょう。なるほど、ロングキャストというのは重要なのだなぁ、と気が付かされましたね。
 何しろ高いものですから、こいつは一生こき使う予定です(笑)。

 その後もいろいろリールを買ったのですが、それは別の機会に。その内「2」を書いてみます(笑
)。



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