驚愕のデスアダー

  デスアダー(6インチ)を初めて見た時、正直「なめとんか!」と思った。

  バス釣り用ワームは普通4インチくらいが普通である。しかるに、デスアダーは6インチ。しかも、太さはカットテールの3倍位ある。「ありえね〜」と笑い飛ばしてしまったのも無理からぬ事であると思って頂きたい。

  しかし、その笑いは衝撃の光景と共に凍り付く。その訳分からんワームで03年某日、某アツ坊氏が、目の前で当時の僕にとっては有り得ない程の(今だって十分)モンスターである49cmをキャッチしたのだ。

その時に何を思ったか。すげ〜!でも、ありえね〜!でもなかったように思う。「バスってあんなにでかいワーム食うんだ!」というコペルニクス的大転換が脳内で行なわれたのだ。「バスは小さいワームの方が釣れる」という固定観念が崩壊した瞬間だった。

  当然というのもなんだが、僕はデスアダーを買いにいそいそと釣具屋を訪れた。そして、購入したのが、なんとチャートカラーのデスアダーだったのである。一体この時の僕は何を考えていたのかと問い詰めたくなるようなチョイスだが、当然ながらこのカラーはさっぱり釣れず、ながきに渡りワーム保管バッグの奥底で眠りにつく事になる。

  月日流れてある日、僕は得意のポイントに浮いていた。そして、バスがボコボコボイルしている場面に出くわしたのである。僕は勇んでルアーを投げた訳だが、これがさっぱり口を使わないバスだった。どうも、ベイトしか目に入らない状態にあるらしい。

  ならば、なにか目立つルアーでも投げてみるか。僕はワームバッグを引っ掻き回し、偶然、チャートカラーのデスアダー、購入してから一本もロストしていないあのデスアダーを「発見」したのである。

  これなら目立つはずだ。僕は一緒に来ていた某プリンさんにこのワームを見せ、笑いながらキャストした。

  いきなり一投目。ラグゼノーム666がぶち曲がり、45UPをキャッチ。

  おお、効くなぁ、これ。僕は更に何も考えずに同じ場所に同じく投げ込んだ。すると、これはどうしたことか。いきなり入れ食い状態に突入したのである。しかも、上がってくるバスが皆々45UPだった。カラーチェンジ、ルアーチェンジすると沈黙し、チャートに戻すと釣れ続ける。当たりルアー、当たりカラーというのはこういう物か、とかなり驚いた。

  そしてその中に、桁違いのバスが混じっていた。水中に突き刺さったティップが凍り付いたように動かなくなり、既にバッドまで曲がったロッドが更にじりじりと絞り込まれる。尋常じゃない引きに耐えてようやくキャッチしたのが、生涯初の50UP!ジャスト50cmであった。チャートカラーのデスアダーはこの日、全てロスト。それっきり店頭で見る事も無く、こっそり捜し歩いている。

  最近では、デスアダーをテキサスリグで使う事が多い。場所的にはリザーバーの岩場やリップラップ。水質が強ステイン〜マッディの時が良い。その圧倒的な存在感でバスにアピールするわけだ。

  バスは意外に、でかいワームを簡単に食う。理由はよく分からないが、同一寸法のハードルアーに対してよりも遥かに容易に口を使うようだ。いわゆるビッグベイトに対するバイトがいわゆる攻撃型バイトであるのに比べ、大型ワームには明らかに捕食型バイトを行なう。6インチデスアダーも下手をすると呑み込まれてしまう程だ。このため、大型ワームを使う際にはフィーディングエリアを意識した方が良い。

  デスアダーは水切りが良いためにスキッピングし易いという特徴を持っている。スリットが入っているためにフックを隠してもフッキング率も良い。このため、オーバーハング下特攻やカバー撃ちにも向いている。そういう場所にいるバスは、この手のでかいワームをあっさり食ってくるということもある。

  カラーは前述のチャートカラーを信仰しているが、残念ながら売って無いし、万能でもないので、スモーク系をメインに使って好結果を得ている。サイズ的にはやはりベイトフィッシュサイズなので、カラーもそれに合わせた方が良いはずだ。

  昔、Kケ浦で行なわれたオカッパリ釣り大会に出場した時、威嚇と受け狙いで、チャートのデスアダーをワッキー掛けにした奴をぶら下げて歩いていたら、狙い通り笑われたという楽しい思い出もある。もっとも、その威力を知った今となっては笑ってくれた連中に「分かってないね」と言ってやらなければなるまいが。

とにかく、使うまでは腰が引けるが一度使うと手放せなくなるルアー。それがデスアダーである。最近作ってないらしく、ショップで見る事が少ないのが気掛かりだが、日本製ワームとしては一二を争う傑作だと評価出来る様に思う。




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