霞ケ浦ルアー拾い紀行

 僕は霞ケ浦が嫌いです。
 遠い(片道2時間強)。広い(どこで釣ったらいいかわからん)。水が汚い(何であんなに濁ってるの?)。ルアーが無くなる(後述します)。アングラーでいっぱい(まじ込み過ぎ)。そして釣れん(これが最大)。わざわざ行く価値まったくなしって感じなのです。
 昔は釣れたんだよー、という思い出を聞く度に「なぜにその頃俺はバス釣りをやらなんだ」と言う後悔にさいなまれたり、いくら釣れてもあんな遠い所はよう行かんわと思ったり…。
 なにせ、僕は未だ一回も霞で魚を釣り上げていないのです。
 一回、自作トップウォータープラグを投げた後、リールの糸詰まり(スピンキャストリールで良く起こる)を直していたら突然「がぼ!」と出て、慌てて合わせるもリールがフリーになっていたためフッキングせず、あわくってる間に逃げられた…。というのが霞で唯一のバスヒットでした。
 これと、TDハイパークランクにスーパー外道のレン魚がヒットした(「外道について」参照)のだけが霞でのお魚の感触。今までに5回行って、たったそれだけなのです。
 そんな釣り場にわざわざ2時間も掛けていく価値を感じません。そんなわけで僕は霞ケ浦にはよほどの事が無い限り行く気はありませんでした。
 ところが04年11月、キャナピーが「霞に行く!」と言い出したのです。
 事の起こりはすみさんとケンさんが霞ケ浦でチャンネルキャットフィッシュを爆釣した!という話でした。キャナピーは(僕もですが)魚ならなんでもいいというタイプで、最大60cmが釣れたなどという話を聞くと、いてもたってもいられなくなったのでした。何せ投げるたび爆釣だというのです。キャナピーが行く気満々なので、仕方なく僕も行く事に同意。僕らは2時間以上を掛けて霞ケ浦まで遠征しました。
 さて、土浦新港(僕らは霞といえばここしか知らなかった)に到着し、ルアーロッドの先にあたりめを付けるというシュールな格好で(笑)、僕らはキャット釣りを始めました。
 …しかし反応がありません。「これは…、やばい」この瞬間僕は確信しました。なにしろそこは土浦新港の超一級ポイント(バス釣りですが)である温排水。ここにいなければどこに魚がいるねん!という場所でした。ここで無反応という事は…。
 しかもキャナピーは5分もすると(彼は魚が見えないと集中力が無くなるタイプなのです)「移動!移動!」と言い出しました。ここが駄目なら他はどこも駄目やろ?と思ったのですが、まぁ、霞の他の場所も見てみたいし、移動する事にしました。
 堤防沿いを走り、要所要所で竿を出してみたのですが、まったく反応無し。というか生命反応無し。僕は速攻飽き(笑)「どうせ釣れないのなら」とルアーを投げ始めました。
 するとどうでしょう!なんと30分で3つもプラグをロストしたのです!なんじゃそりゃ!霞ケ浦サイテー!
 挙げ句に目の前で土嚢に根掛かりしたバイブレーションを竿で引っ掛けて回収したら、ラグゼノームのガイドが欠けてしまった(これは僕が悪いのだが)!もういやだー(泣)!
 吹き付ける北風。ついでに雨。僕は激しく凹んでいました。途中で合流したすみさん曰く、どうも前回来た時は台風の影響で大増水していたらしいとの事。要するに特殊な状況だったのです。それでは今日釣れなくても無理はありません(そうか?)。
 僕は更に凹み、やさぐれ、釣りをする気も無くなり、なにか面白いものはないものかと岸際をとぼとぼと歩いて行きました。
 岸際には様々なゴミが溜まっていました。どうも台風で大増水した時に北風に吹き寄せられ、水が引く時に取り残されたものらしいのです。大量の葦の切れ端の中に空缶やら空き瓶やら、ペットボトル、発泡スチロールなどの生活ゴミが溜まっていました。それが岸際を埋め尽くしていたのです。
 その上を歩き渡ろうとした時の事です。ふと目を落とすと、クランクベイトが落ちているではありませんか。
 ?なんだこりゃ?誰が落としたものだか?
 拾い上げてみると、なんだかぼろぼろで、フックも付いていないような代物でした。僕はちょっと考え、諒解しました。これは多分、かつて根がかったものが、フックが錆びて無くなったために浮いてきて、ゴミと一緒に流れ着いたものでしょう。
 もうけたもうけた(笑)。ということで、またしばらく歩くと、またルアーが落ちています。今度はロングビルミノー。
 これはもしかして、他にもあるのでは?僕は注意して下を見ながら歩きました。するとどうでしょう。たちまち幾つも見つける事が出来たのです。
 これは面白い。僕は見つけたルアーをもってキャナピーの所に戻りました。キャナピーは真面目に釣りを続けていたものの、まったく反応が無くて魂が抜けかかっています。
 ルアーを見せると彼は驚きました。
「すげーじゃん、どこで見つけたの?」
「その辺にいっぱいあるよ?」
「は?」
 キャナピーも釣りを中止し、二人してルアーが落ちていたゴミだまりに向かいました。するとキャナピーは目がいいので、僕が見逃していたルアーを次々と見つけ出しました。
 キャナピーの目が輝きました。あれはハンターの目です(笑)。
 これはもう釣れない釣りなんかやっている場合ではない!ということで、車で岸沿いを移動しつつ、よさげなゴミだまり(笑)を見つけては車を降り、ルアー発掘大作戦を敢行しました。
 すると、あるわあるわ!それはもう、キノコでも採るようにルアーが拾えるではありませんか、二人して競うように拾い捲り、拾ったルアーを入れたビニール袋は満タンになりました。なるほど、先ほどの30分でルアー3つロストは伊達ではなかったのです(笑)。広大なカスミのほんの一部分でこれですから、全体ではどれほどのルアーが根掛かり、打ち上げられている事でしょうか?
 さて、まだまだ拾いたかったのですが(笑)、雨が強くなってきたのでここが最後!と決めた所で僕らは発掘を始めました。ここまで数は拾えたのですが、いまいち目玉になるような(笑)ルアーがありません。有終の美を飾るルアーがなにかないものか…?
 倒木の陰を覗き込むと、その下になにかありました。良く見ると、なんか見覚えのある目玉です(笑)。おお、これは!
 なんとPOPMAXでした。すげー(笑)。
 合計49個。あらかたがらくたでしたが、ルアー拾いの楽しさは拾ったルアーの価値には無いのです(でもPOPMAXはうれしかった(笑))。童心にかえって、宝捜しを楽しんだ1日でした。
 うーん、霞ケ浦いいとこじゃん(笑)!




TOP