ブラックバス擁護論4

 今回の特定外来種指定に関して最も無念だった事は、全国300万人と言われる我々バス釣り愛好家の事が無視された事である。
 無視されたのである。漁業関係者の減収は問題視されたと言うのに。釣り具業界の減益は問題視されて半年の先送りが決まりかけたと言うのに。我々アングラーが被る不利益は口の端にも上らなかった。これは明らかに不当な事であると言わなければならない。
 我々アングラーにとってバス釣りは趣味である。駆除派は言う「環境と趣味とどちらが大切なのか(この二者択一が誤りである事は論を待たないが、それはこの際問題視しない)」我々はこう応えるべきである。「どちらも同じ位大切である」。
 人間が社会生活を行う上で、経済活動(労働含む)は非常に重要である。しかしながら、社会生活はそれだけでは絶対に成り立たない。人間が人間らしく生きるためには労働以外の部分が必要である。その中には当然趣味が含まれる。
 社会生活を行う上で絶対に必要であると言う意味で、趣味の価値は経済活動と比較してけして劣るものではないのである。この場合はバス釣りだが、我々バス釣り愛好家にとってバス釣りを奪われる事は、仕事を奪われる事に等しいのである。仕事を奪われれば生きて行かれない様に、アングラーにバス釣りを止めよと言う事は、死ねと言うに等しいのである。
 ラージマウスバスが特定外来種に指定される事によって、即バス釣りが禁止になる訳ではない。しかしながら、この指定によって地方自治体によるリリース禁止条例や駆除活動、釣り禁止区域の拡大などの影響が予測される以上、バス釣りに影響無しは詭弁であると言うしかない。つまり確実にアングラーの利益を侵害する法令である訳で、このような法令をアングラーの同意無しに制定する事は、アングラーの人権に対する重大な侵害であると言わなければならない。
 我々はこのような人権侵害に対してもっと怒りを露にすべきである。環境庁、地方自治体、漁協、マスコミ、素人駆除派の無責任で無思慮で無情な意見に対して、怒りを持って反論すべきである。日本国民は日本にいるラージマウスバスを利用する権利を持っている。日本の自然は行政と環境保護団体と利用業者のためだけのものではないのである。日本国民であるアングラーがラージマウスバスを釣って楽しむことに、なんぞ恥じ入るべきものがあろうか。そのアングラーが自分たちの利用のためにラージマウスバスの保護を訴えるのと、漁師が在来種の保護を訴えるのと、なんぞ価値の上下があろうか。
 我々はアングラーとして、誇りを持ってバス釣りの存在価値とバスの保護を訴えるべきである。それでこそ我々は世間にバス釣りとバスの存在価値を認めさせる事が出来る。



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