葦について

  葦、英語で言うとリーズとなるのだろうか?蓮のことはリリパットと言い、倒木のことはレイダウンなどと言う人でも大概、葦は日本語で葦と言う(僕ね)。

  葦は、全国的にはどうだか分からないが、関東近辺では最もメジャーなカバーである。

  水深1m以下の泥底の場所に好んで自生するようだ。野池には大概葦が生えており、池によっては全体を葦が覆ってしまっているような池もある。霞水系でも葦は死ぬほど生えており、葦撃ちは霞水系攻略の必修科目といわれる。

  葦には強い水質浄化作用がある。護岸されてしまい、葦など生えようも無い野池よりも葦が生えている野池の方が、水質が悪化し難いのはこのせいである。バスが隠れるカバーとしては密度が濃い部類に属し、同時にベイトフィッシュが隠れる場所としても格好の場所だ。このため、葦が生えているフィールドはバスが大きくなり易く、葦が生えているエリアはそのフィールドにおいて、最重要攻略目標となる事が多い。

  葦を攻めずしてなんのバス釣りか、という感じであるが、葦は攻略が難しいカバーの筆頭でもある。

  なにしろ葦は密度が濃い。密集して生えているとラバージグさえ通らないことがある。しかもしばしば倒伏し、絡み合う。オカッパリでルアー根掛かりロスト率NO.1カバーは間違い無く葦である。エリアとしても、霞水系などではあまりにも広大で掴み所が無い場合も多い。岸から10mも20mも葦エリアが広がっていては、真ん中辺は攻めようが無い。お手上げである。

  正直言って、葦など無いフィールドの方が釣りはし易い。しかし、葦があった方が魚はでかくて元気である。フィールドを選択する時、この辺の矛盾点がいつもアングラーの悩みの種となる。

  個人的には、葦は苦手である。

  なぜ苦手かと言えば、プラグの類で攻めきれないからである。ボートに乗っているのでもなければ、根掛かりがおっかなくてハードルアーなど投げ込めたものではない。

  葦に強いハードルアーと言えばまずスピナーベイトである。この場合、まず葦の岬をカットするように攻めるのが常道であるが、それで出ない場合は真ん中にガボンとぶち込んでしまうのも良い。ただしこれは根掛かりを半ば覚悟しての男らしさ満点の使い方となるが。何れにしても葦に積極的に絡めれば絡めるほどスピナーベイトは釣れる。

  シャロークランクベイトで、ボディ幅よりも小さなフックを装備しているものは葦の隙間を縫うように巻いてくると言うスリル満点な使い方も可能である。この場合ウォブリングに特化したアクションで、リップタッチ時にフラタリングしない方が根掛かりしない。キャスト時にリトリーブコースを慎重に設定することは勿論、繊細なリーリングが必要なことも言うまでもない。僕は当然ボートでしかやらん。しかしこれは時に笑えるほど釣れるメソッドである。

  ど阿呆流とでも言うべき攻め方なのが、バイブレーションを葦の中に投げ込む使い方である。根掛かり?知らんよそんなことはという感じでえいや!と投げ込む。意外に、そう簡単には根掛かりしないものである。個人的感触では生還率は4割という感じ。これが高いと感じるかどうかであるが、とにかく、こんな馬鹿なことは誰もやらないからだろうが、かなり良く釣れる方法ではある。ただし、絶対オカッパリではやらないようにと忠告しておく。

  葦のポケットにトップウォータールアーを投げ込むのも効く。勿論ポッパーなど投げ込んだ日には絶対帰って来ないと覚悟しなければならないので、いくら僕でもたまにしかやらない。投げるならフロッグである。とにかく水面にルアーが着きさえすれば、シェイクして波紋をおこし続ければいつかは出る。たぶん。ただし乗りは極端に悪いと思った方が良い。

  ハードルアーにこだわるという御馬鹿なことをしないのであればラバージグか、フックの先を隠したワームを投げとけば良いのである。秋など水域全体の水質が悪化した時こそ葦エリアが草狩り場となる。そういう時は葦の際ではなくど真ん中にワームを投げるといきなりでかいのが食ってくる、事がある。この場合は必ずフリッピングロッドを使うように。巻かれて宙ぶらりんになったバスを取り込めないのであればやってはいけない。

  葦を攻めていると「バスフィッシングやってる〜」という喜びに浸れる。スピニングロッドにノーシンカーしか持っていないアングラーを尻目に、フリッピングロッドで葦のど真ん中にジグを落していると優越感に浸れたりもする。もっとも、釣れなければ意味はない訳だが。

  しかし、葦にルアーが何度も巻かれると「あんなもん片っ端から刈り払って燃やしちまえー!」と叫んでしまう事があることも、まぁ事実である。




TOP