初めての40UP

 40UPはなかなか釣れませんでした。

 釣れども釣れども後少し足りない。今度こそ!と計測すると39cm。何度涙を飲んだ事か。

 しかしある日、意外な形でこの壁が破られる事になるのです。

 その日は台風の次の日でした。僕と弟は当時ホームにしていたとあるリザーバーに向かいました。

 行ってみると、な、なんだそりゃ!5mは軽く増水しているではありませんか。水の色はまっ茶色。普段釣りをしていたエリアは軒並み水に漬かっていました。

 めげずに釣り始めたものの、はっきり言って状況が悪すぎました。釣れる気さえ起きずに終わり、僕らはすごすごと駐車場に引き揚げてきました。すると、そこにアングラーの姿が。彼が言うには、インレットの最上流には岩魚やヤマメが跳ねているというのです。

 「岩魚釣りてー!」と、思った僕らは引き上げを中止してインレットに向かいました。すると、インレットだけは水がクリアです(流れは強かった。更に言えばそこは一昨日まで陸だった(笑))。確かに最上流では何か魚も跳ねています。

 俄然やる気が出た僕らはそこで釣りを始めました。・・・しかし、まぁ、当り前に釣れません。弟は最上流でヤマメを狙い始め、僕は少し下った所でルアーを投げていました。

 この当時僕は自作プラグに凝っていました。いわゆる表層系クランクで、サイズはグリフォンゼロくらい。これがまたいい加減に作った割りには良く釣れたのです。激渋の状況で釣れたモデルをヒントにしてシェイプをポッパー風に改良したものはそれまでに累計で20匹近い数のバスを釣っていました。

 ここでも僕はその自作ルアーを投げていました。川幅は10mくらい。川の対岸の淀みにキャストしてはアクションをつけ、本流に流されるということを繰り返していました。

 何個か自作ルアーを投げ、ふとタックルボックスを見ると、そこには一つの試作自作ルアーが入っていました。

 それは、それまでの2倍近いサイズ(POPMAXが大きさのモデルだった)のルアーでした。やはりポッパー形状の表層系クランクで、かなり冗談で作ったものでした(笑)。「試しにこれでも投げてみるか」ということで、僕はこいつをリグってキャスト。やはり対岸の淀みで首を振らせてみました。

 すると、ルアーが流れの強い部分に差し掛かろうとした瞬間。なんとルアーが消し込んだのです!

 ほとんど無意識にフッキング!バスはなんと激流を溯り、ジャンプ!更に今度は流れを駆け下り、本湖に逃げようとします。僕はロッドのバットを支えて耐え、20ポンドのラインに物を言わせてかなり強引にランディング!

 何よりもこの状況下でバスが釣れた事に驚き、感動し、僕はしばらく大きさの事は忘れていました。駆けつけた弟が「でけー!」といいながら計測。

 なんと42cm。初の40UPだったのでした。


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